杉並区 税理士のいいところご紹介
いま日本経済がかかえている問題のすべてが、あたかも大企業と中小企業・農業などとの「生産性格差」に由来するかのようにえがきだし、ついでこれをうけて、その対策として、「規制緩和」をつうじて中小企業や農業などを「国際競争にさらす」ことを主張している。
労働運動幹部には通用しても、けっしてわれわれ労働者・国民には通用しない。
とはいえ、くりかえし宣伝される「報告」の論旨、日経連の主張を放置・軽視するわけにはいかない。
そこで本節では、95年版「労問研報告」の仕掛けとか勘どころを、臨時総会でのN会長あいさつや、それをフォローした「N」などにもふれながら、あきらかにしていこう。
これは、あらかじめ「規制緩和」に論理を転がすことを予定した初めに規制緩和ありきの論法というほかない。
要するに、財界本位の「構造改革」をスピードアップして強行しろ、ということだ。
この点について、もっとあからさまなのは、臨時総会での永野会長のあいさつである。
これは「2つある」という日本経済の「歪み」の一つとして、「大変な生産性の不均衡」をあげ、つぎのようにのべている。
すなわち、「エレクトロニクスや自動車、精密機械などに代表される産業は、国際競争のなかで日本の経済成長を引っぱる部門でございます」ともちあげ、一方「コメや多くの食料品、さらには流通サービスの一部に典型的にみられますように、国際競争にはとても太刀打ちできず、したがって市場開放もできず、政府の保護によってしか生きられない、いわば日本経済の足を引っぱる部ございます」と農業などをやり玉にあげ、それらの「規制緩和」による切り捨てを主張して。
要するに、憎っくき農業などを「規制緩和」で掃除してやれという魂胆が透けてみえ第一章のタイトルは、「内外経済・社会環境の変化と日本」となっている。
ここでは、「国際貢献」という美名のもとに、「日本経済の行き詰まり」を打開する方向として、経済的進出だけでなく、(きわめて慎重な表現ながら)これを補完する軍事的進出の必要が示唆されている。
その例として、つぎの一文がある。
「今日の日本を取り巻く客観的状況は、これまでのような限られた範囲内の国際貢献(経済面・技術面での国際貢献)だけでは済まなくなってきている。
平和と安定した社会の繁栄をめざす国として、日本は自らの主体性と哲学によっていかなる国際貢献をすべきかを誤りなく判断する時期にきている世界のために日本は何ができるかを考えることから始めなければならない」。
さらに、「国際貢献」では、途上国の「社会秩序の維持」にまで及ばなければならないというのである。
いまアジアが、大資本にとってもっとも魅力的な進出先であることは、想像にかたくない。
事実、大資本は、アメリカに追随し、APEC(アジア太平洋経済協力)などを利用しながらアジア進出をすすめている。
「報告」は、この路線をより強力に推進するねらいで、「エネルギッシュな発展をみせているのがアジア地域である。
アジアは人口が多いだけに、その発展は世界経済に大きな影響力をもつ。
アジアの発展を健全な持続性のあるものにしていくことは、アジア諸国のみならず、欧米を含む先進諸国にとっても重要な義務であろう」とのべている。
腕曲ないいまわしながら、要するに、日本の大資本・多国籍企業の餌食としてアジアがおいしいといっているのだ。
その進出の野望は、アジアにとどまらない。
「発展の連鎖を、アジアを越えて、さらに旧ソ連・東欧圏、中南米、アフリカ諸国にも広げていくことができれば、12世紀にかけての世界経済の展望に具体的な明るさが期待できる」と「報告」はいう。
これは裏がえせば、これらの地域へ順次進出でき付言すれば、小選挙区制導入、憲法改悪策動といった、今日の政治反動の経済的背景として、右のようなエスカレートする大資本の海外進出策動がある。
進出した日本資本を守るためにも公然たる海外派兵が必要だし、またそれによる軍事費の増大自体が死の商人たる大資本(軍需産業)にとって市場拡大という魅力あることなのだ。
れば、そのかぎりで日本資本主義も延命可能であるという、未来なき階級の「展望」の吐露である。
あとでみるように「報告」は、円高による高賃金・高地価を産業空洞化の原因だとしている。
だが、基本的には、そのようなことにかかわりなく、過剰な資本・過大な生産力のはけ口として、海外進出をエスカレートさせたいのだ。
高賃金などは、そのための口実として利用されているむろん、高賃金を「空洞化」の口実にすることで、賃金抑制をねらう、という側面もけっして見逃してならない。
「日本経済の空洞化阻止のために」となっている。
ここでは、だれも異論のない、このようなタイトルのもとに、「規制緩和」による日本経済の大改造をねらう一方、空洞化を口実に賃金など労働条件の徹底的な抑制をねらっている。
まさしく二兎を追うまやかしの「空洞化」論が、この章で展開されているのだ。
「国際的にみて遅れた部門が保護政策などで国内に残り、それによって発生するコスト高で、国内に残るべき産業が海外(必ずしも途上国ではない)に押し出されてしまう問題である」。
これは原因をすりかえた特異な解釈といわねばならない。
「報告」は、ここでいう「コスト高」が生じる要因として、つぎの3点をあげている。
すなわち、第一は「保護、規制の下にある産業の生産性の低さによる人件費、資材費、建設費、流通・サービス費用のコスト高」、第2は「ピーク時より低下したとはいえ、いまだ異常に高い地価」、第3は「こうした日本経済の歪んだ構造から発生する円高」であるという。
みられるとおり、21点が並列されている。
しかし、高くなった名目人件費や地価は、とくに円高の急進によるから、つまるところ日経連は円高が空洞化の原因といっていることになる。
そのうえで日経連は、この円高の主因を(すでにみたように)生産性格差にもとめるのであるが、これは大いなるごまかしである。
その決定的な要因は、自動車・電機などの大企業が(とくに80年代以降)労働者や中小企業の犠牲のもとに、集中豪雨的な輸出ラッシュをかけたこと、日経連の身勝手な空洞化の定義からみよう。
「日本経済の高度化に従って、従来部門が移転し、国内では高度化した部門が雇用を吸収し、安定した発展を維持するという産業の途自体は、産業空洞化ではない」として、つぎのようなケースを産業空洞化とするのが、日経にたいする安保体制にもとづく不当な「反撃」としてアメリカが(日米貿易において自国を有利にするため)円高をおしつけたことである。
80年代後半に生じたプラザ合意後の円高(一ドル130円)にしても、またC政権のもとで92年2月から生じた円高(一ドル100円前後)にしても、右のことが基本的な要因としてある。
すでにあきらかなように、まず「報告」は、高賃金←空洞化←円高という「関連」を印象づけたうえで、その円高の主因は大企業と中小企業・農業などとのあいだの生産性格差によるとして、結局「規制緩和」をつうじて中小企業や農業を財界のつごうにあわせて整理・淘汰することをねらっている。
これが二兎のうちの一兎である。
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